手賀沼は周囲38キロの巨大な沼。縄文の頃から人が暮らし、大正には白樺派の文豪・武者小路実篤や志賀直哉、日本民藝運動の祖・柳宗悦らが創作活動の拠点にした場所です。そんな文化的な香りのする風土に惹かれ私(studio me 市川)は、2018年に手賀沼エリアに移住しました。手賀沼で釣りやキャンプをしながら自然の中で子供を遊ばせ、近所の仲間たちと一緒に平和な時を過ごしています。ガイドブックを通して、この土地の「ゆったりとした時の流れ」をできる限り多くの人と共有できたら大変嬉しく思います。
ガイドブックは柏市の道の駅「しょうなん」をはじめ、手賀沼周辺の飲食店などで配布中。
■ある日の手賀沼キャンプ日記■
手賀の森は僕にとってちょうど良い遊び場である。
まず、薪拾いが楽しいのだ。森に足を踏み入れると、杉や檜などの針葉樹からクヌギや桜などの広葉樹、竹林など植生の豊かさに驚く。ざくざくと足踏みすれば、ざわざわと小さい虫たちが一斉に逃げる。思わずひとり森に座り込んで足元を観察してしまう。
野鳥も多い。今日も突然、目の前にカワセミが現れて癒してくれた。ある日のキャンプでは早朝に不思議な音(カカカカカ、、、という人工的、機械的な音)で目が覚めて、慌ててテントから飛び出したら、なんと、テント脇の木をキツツキが突いていたこともあった。ここは標高1000mの山奥か!? いや、そんなことはない。少し遠くを見れば自分の住むいつものマンションが見える。
BBQの食材調達に繰り出せば、地元で採れた野菜の豊富さに目を見張る。旬の野菜と新鮮な肉を炭火で焼けば、もうそれで十分。うまい、うまい。この味、都内にあるどんなレストランよりもうまい、と、いい気になる。
満腹ほろ酔いで焚き火にあたり、ふと夜空を見上げれば、木々の隙間から満天の星が覗く……私の住むこの場所では、いつもこんなにも星が見えるのだと、またいい気になる。
手賀沼の自然を一度に味わうかのような、濃密な時間だった。
2023.01.07-08 市川 @RECAMPしょうなん